3.JR東日本の羽田空港アクセス線

title

3.JR東日本の羽田空港アクセス線

JR東日本は、現在使われていない浜松町-田町-東京貨物ターミナル間の貨物線などを活用し、羽田空港へのアクセスを確保する計画を持っています。

東海道線との接続を確保し、新橋駅、東京駅などから乗換なしで行ける列車を走らせ、上野東京ラインを通って北関東からの直通列車も羽田空港に乗り入れたいとしています。

残念ながら現在公開されている計画では、田町は通過するだけであり田町には駅が作られないとのこと。また、2020年春開業の新駅・高輪ゲートウェイ駅にも乗り入れないとのことです。
2029年頃に、一部が開通するのではないかと見られています。


2013年にこの構想が発表されたときには、2020年開催予定だった東京オリンピックに間に合わせるのではないか、との論調もあったのですが、2018年時点の報道では結局はオリンピックには間に合わないことが明確になりました。<br />
2019年の報道では、東山手ルートについて「環境アセスメントに約3年、工事に約7年。(2019年にアセスメントに着手)」とのことで、2029年には開業するものと予想されています。

 

・・・山手線の田町付近から海岸部を通って羽田空港方面に向かう現在休止中の貨物線を活用した新しい鉄道路線です。

空港付近でトンネルを造って貨物線と空港とを直結させ、都心から列車が直接乗り入れるルートを軸に検討を進める方針です。

・・・(2013年11月、NHK記事より引用)

下記の地図では「①羽田空港アクセス線」に該当します。

14newlines
14hanedafig1

上の地図の「東山手ルート」は、田町駅の北側で、羽田方面に向かう貨物支線(大汐線)と、東海道本線(上野東京ライン)とをつなげる計画です。
水戸、宇都宮、高崎といった北関東から羽田空港行きのアクセス列車が走り、田町を通ることになります。
東京駅-羽田空港新駅間の所要時間は(わずか)18分を想定しているとのことで、利便性がよくなり、気持ちとしては羽田空港をより近く感じることになるでしょう。

 

現在分かっている情報を改めて時系列でまとめると、次のようになります。

・2019年5月15日:羽田空港アクセス線東山手ルート、環境アセスメントに着手
・2019年6月18日:環境アセスメントに伴う意見書の提出期限

・2022年頃?:工事着工?
・2029年頃?:開通?

過去の報道
JR東日本、羽田空港アクセス線の環境アセス着手(Aviation Wire,2019/5/20)
JR羽田アクセス線建設、本格始動へ まず「東山手ルート」(TOKYO MX,2019)
JR東が北関東と羽田空港を直結 冨田社長、新線乗り入れ構想表明(産経,2014)

次は、田町付近の東海道本線の貨物支線(大汐線)の状況です。

14-kamotsu

新幹線のすぐ左側にある草の生えている線路が、休止中の貨物線です。田町(正確には札の辻橋の南側)から浜松町までは単線です。(田町駅の北側から田町駅方向を撮影しました。)

この貨物線の北側は、昔は汐留貨物駅までつながっていましたが、現在の線路は浜松町駅の南側でブツッと切れ、浜松町駅横の敷地の跡は空き地になりました。以前は浜松町のこの場所から自家用車を積んだ貨車と客車を連結したカートレイン(カートレイン九州、カートレイン北海道)が発着していましたし、ジョイフルトレインの展示イベントなどにも使われたことがあります。ちなみに田町-浜松町(南側)間の貨物線は単線です。

 

東海道本線(上野東京ライン)と貨物支線の間は現在、浜松町・田町周辺では全く接続が切れてしまっています。
東海道本線と貨物支線の間には東海道新幹線が走っているため、新設する短絡線は立体構造にする必要があります。

14hanedafig2

この「羽田空港アクセス線」に田町駅ホームができるのかどうかが気になっていましたが、結局田町駅近くではトンネルで通過し、田町に駅は作られない、ということが分かりました

新設する短絡線は、「東海道線接続区間」に該当し、
浜松町方面から来た東海道線の、上下線の間にトンネルを新設し、
東海道線下り線と新幹線を地下でくぐって、
札の辻橋を越えたあたりで地上に出て、
現在の大汐線の高架につなぐ模様です。

14hanedafig3

工事の手順としては、
①山手線引き上げ線(田町駅から見て浜松町方向の折り返し線)を撤去し、
②山手線外回り、③京浜東北線南行、④東海道線上りを順次移設し、
⑤の計画線を新設する予定とのことです。

14-hanedaaccess

上の計画を実際の写真に落としてみました。
①山手線引き上げ線(田町駅から見て浜松町方向の折り返し線)を撤去し、
②山手線外回り、③京浜東北線南行、④東海道線上りを順次移設し、
⑤の計画線を新設する予定です。
左端のほうの現在の大汐線は、この近くでは使わないようです。

上の写真の先に、半地下の「雑魚場架道橋」という、歩行者と自転車専用の通路があります。
昔は船を出し入れする水路だったそうです。
今は芝と芝浦を結ぶ希少な通路となっていて、歩行者と自転車の通行量は意外とあります。
設計図を重ねると、この通路の真ん中あたりを、東海道線接続区間の計画線が、やはり半地下で横断することになります。
まさか半地下の通路の真ん中に「踏切」を作ることはしないと思うので(笑)、雑魚場架道橋が今後どうなるのかにも注目しておきたいと思います。

14tamachi-haneda

もし田町駅に羽田行きの専用ホームができたら、駅名票は左のような形になるかな、と思っていたのですが、幻に終わりました(笑)。

さて、田町とは関係ないですが、地図の羽田空港アクセス線は、りんかい線の東京テレポート方面(JR東京貨物ターミナルとりんかい線の車両基地「東臨運輸区」(通称八潮車両基地)は隣接)や、大井町駅方面に分岐しています。
羽田を出て貨物線に入った電車が、りんかい線に乗り入れてお台場・新木場地区まで直通するようです。
羽田空港-新宿間23分とは、現在に比べると格段の短縮となると思います。

 

ページ上部の駅名標は、駅名標ジェネレーターを利用させていただきました。リアルな画像が生成できるのですばらしいと思います。ありがとうございます。